国民民主党が今回の選挙で伸びたとはいえ、年収の壁をテーマに政府に決断を迫るも、財源の話になると、「それは、こちらの考えることではない、政府与党で考えてちょ」と、なんとも、与党にお任せの態度。議員を急激に増やせたので、のぼせて、有頂天になってしまったのか、その後のスキャンダル発覚に、それまでの勢いもしおらしくなり、内部の結束に汲々の日々。キャスティングボードが他の野党に移らないとも限らない。ただ、今のところは優位に立っている。 国民民主党は予想以上に得票した。比例は358万票増の617万票で驚異的だった。
自民党は約533万票減(▲26.8%)の1458万票。日本共産党が約80万票減(▲19.3%)の336万票。公明党が約115万票減(▲16.2%)の596万票だった。公明党は玄人からの評価は悪くないのであるが、 ところが、一般国民にはそれらがほとんど伝わっていない。
比して国民民主党の方は比例名簿登載者が足りなく3議席を他党に譲るオマケもついた。政策も以前はガソリン税減税や原発政策で支持基盤の自動車総連、電力労連の代弁が目立ったが、今回は玉木雄一郎代表の発信力で20~30代のZ世代・α世代の心を掴んだ。
「手取りを増やす」というキャッチコピーは分かりやすい。減税系の政策はマクロ政策としても筋が良い。公明党をもし、知っていなかったなら、国民民主を推していたかもしれない。SNS上のファン獲得を勝因とする向きもある。しかし、ことSNSの発信閲覧回数となると公明党にしても、その後塵を拝しているわけでもなさそうなのだ。
公明党は日刊の機関紙を持つ政党であり、LINE登録者数も政党のなかでは一番多い。最近はTikTokなどショート動画配信にも取り組んできている。全国の津々浦々に熱心な党員・支持者もいる。
しかし今回の衆議院選挙でも、一般有権者にこれまでの実績や掲げている政策・主張が伝わっていたかというと、ほとんど伝わっていなかったというのが実情ではないのか。なぜ公明党の発信は十分に伝わらないのか。本来なら、こうした長年の実績や、どこよりもマジメな議員たちの仕事ぶりが、幅広い多くの国民からも相応に認知されて当然なのだが。
やはり、収支報告書の不記載で自民党の非公認となった候補者らに対して、公明党として推薦を出したことが理解しにくかったのではないのか。
無党派層からすれば政治とカネの問題で潔癖を貫くのではなく選挙事情を優先したなと映ったからなのか。
非公認に推薦を出すに至っては、対外的に説明がつくはずもなく、多くの有権者は、公明党も「同じ穴のムジナ」と認識したことだろう。たしかに、自民への逆風がそのまま連立与党の公明党にも吹く厳しい選挙戦だったにしろ、あるいは、この〝推薦〟問題がなかったとしても今回は大敗していたかもしれない。
それでも、あのような追加公認さえしなかったなら、それまでの信頼に傷がつくことだけは避けられたかもしれないだろう。やはり、今回の推薦問題で投票を見送ったという人もいたに違いない。これらの有権者の反応は多く、聞くところでもある。
公明党は昨日や今日生まれた党ではない。今月まさに結党60年を迎える政党であり、3000人近い地方議員を有し、20年以上も国政与党の一翼を担ってきた政党だ。それでいながら、負けるときは負けるのだ。
勝ちに不思議の勝ちはあっても、不思議の負けなし。という言葉もあるように、選挙の勝敗の原因分析をきちっとされることが、この政党の今後を占うことにもなるでしょう。
一方、議席を増やし野党第一党を維持した立憲民主党も、得票数では7万2127票増にとどまり、意外にも0.6%しか票が伸びなかった。前回2021年の衆議院選との得票数の比較では、もっとも票を減らしたのが日本維新の会だった。約294万票減(▲36.6%)の510万票。160人以上の候補者を擁立したものの、当選は38議席。改選前から6議席を減らし、大阪では全19選挙区を制したものの近畿ブロックの比例票全体でも110万票以上を減らしたのが維新である。その責任を感じてかどうかはともかく、代表選びが行われる進行中。
各政党の個利個略、ひいては決められる日本政治となるのかどうか。今後の石破政権のゆくえはいかに。