トトヤンの家庭菜園

小旅行、読書、TV番組感想、政治への関心、家庭菜園のブログです。(和歌山県)

佐藤優語録

池田大作研究』などの著書がある作家の佐藤優氏のインタビュー語録から、転記。

 

メモその1。何の根拠もないマスメディアの報道や誹謗中傷に対しては、公明党もしっかり言論戦で打ち返していくべきだ。池田氏の逝去を受け、公明党の支持母体である創価学会が退潮するとの報道が目に付くが、私は全くそうは思わない。なぜなら、池田氏は将来への基盤を完璧に整えてきたからだ。公明党の得票数がピーク時と比べて減っているといっても、社会全体で世俗化や政治的無関心が進む中、創価学会は日本最大の組織力を持っている。それを過小評価するべきではない。

 

メモその2。公明党員の皆さんは、どうか自信を持ってほしい。指摘しておきたいのは、池田氏公明党の価値観が、自民党や政府を感化している点だ。例えば、岸田文雄首相が今年9月に行った国連総会の演説では「人間の命、尊厳が最も重要であるとの原点に立ち返るべき」と、何度も「人間の尊厳」「人間中心」という言葉を使っている。私が外務省でソ連担当であった1990年、池田氏ゴルバチョフ大統領(当時)と会談した。翌年4月にゴルバチョフ氏の訪日を実現できたのは池田氏のおかげだ。

 

メモその3。(「政教分離」考)公明党創価学会の関係は全く問題ない。国家が特定の宗教を優遇もしくは忌避しない。かつ宗教団体が自らの価値観に基づいて政治活動を行うことも自由だ。むしろ宗教団体のような中間団体が政治に関与することが、民主主義の担保になると考える。米国やドイツ、日本など世界のほとんどの国が、この立場だ。公明党の淵源は、日蓮仏法に基づく教団である創価学会1954年に設置された文化部だ。戸田城聖創価学会2代会長の時代だった。その戸田氏の思いを第3代会長となった池田大作氏が受け継ぎ、公明政治連盟の結成、公明党の結党へとつながっていった。当時の政治状況は、民衆から遊離したところで政治が決められる宴会政治”“金権政治が厳しく批判されていた。こうした政治の土壌を変えるためには、庶民の側に立つ、大衆政党をつくる必要があった。当時、政党には、自民党のような国民政党社会党共産党のような階級政党があった。国民政党では、国家の枠にとらわれ、日本国籍のない外国人は排除されてしまう。階級政党はイデオロギーが中心となり、人間は二の次になる。国籍や階級を超えた人間主義で、人間の生命を大切にする大衆政党は公明党の誕生によって初めて実現された。忘れてはならないのは、公明党結党の根底には、池田氏が生涯貫いた、民衆を侮蔑する権力との闘争があったことだ。国家権力と民衆の間にはがある。これを破壊しようとするのが革命家や革命政党だ。池田氏はそうではない。壁の向こう側にも人間がおり、対話で変化を起こす。さらには人間主義の価値観を持つ人を壁の向こう側に増やしていく闘いだ。

 

知の巨人である佐藤優氏が
池田大作研究』を書いた理由は?

 

自公連立政権を担う公明党の支持団体である創価学会の会員は、法曹界や行政官、ビジネス、アカデミズムなどあらゆる分野にいます。にもかかわらず、彼ら彼女らがいったいどういう価値観を持っているのか、伝えるものがそう多くはありません。現在、公明党自民党とおよそ20年間にわたり、連立与党を組んでいます。そして、消費税率を10%に引き上げる際に食料品などへの軽減税率を適用する、コロナ禍で1人当たり10万円を給付するといった重要な政策において、公明党が大きな役割を果たしました。公明党がこうした政策を取る背景には、学会の価値観があるわけです。つまり、学会を知り、理解しなければ、日本の政治や社会を分析することはできないのです。ですが、なかなかいい文献がありませんでした。そこで、自分で書こうと思ったというのが最大の理由です。

 

佐藤さんは創価学会キリスト教は、世界宗教になった課程がよく似ていると指摘されていますが、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく!その重要性とは?シンパシー送る理由とは!

 

世界宗教になるには正典が必要なんです。その文章は綴(と)じていないといけません。正典には後から新しい文章が加わってはならないということです。それから、通常の人が努力して全部読み切れる量でないといけません。だから、5000点ある仏典とかではダメなのです。その点で創価学会の場合は、小説『人間革命』(12)、小説『新人間革命』(30巻・31)で計4243冊。そのくらいは小説だから読めます。それから、旧約聖書に該当する日蓮の遺文集の御書。これは分厚い一冊ですが、四六版のソフトカバー版があって、4冊なので全て読めます。読めることがどうして重要かというと、どこからでも引用できるランダムアクセスが可能になるからです。そしてそのくらいの長さだと過去の出来事のみならず、世の中で今、起きていることと必ず類比的な構成の話があります。つまり、正典の中から今、起きていることの指針を選び出すことができるのです。だから、世界宗教になるには「全て読めるテキスト」、正典化が非常に重要なわけです。正典にこれから起きることが書かれているという考え方を「予型論」と言います。キリスト教の場合、聖書の中には世の中で起きることは全て書かれている、という考え方です。そして、正典の記述が曖昧だからこそ感想を生む余地がある、ということです。ただし、量が多すぎるとテキストを全員が全部、読むことは出来ません。すると、ランダムアクセスは不可能となり、一部の聖職者のような存在にしか通用しなくなります。創価学会の日常活動で非常に重要なのは、『人間革命』、『新・人間革命』読了運動です。「これを皆で読んでいきましょう」と議論する活動で、解説者にあたる教師が「これはこういう意味だ」と説明してくれます。だから、その小説は読めますし、そこで物語を共有していくことができるわけです。

 

――信仰というシステムを支えるには、一般人が読み切れる適量のテキストが必要だと。

佐藤 そうです。だから、聖典化したテキストによって支配を行う教団なので、創価学会では分裂が起きないわけです。ある宗教団体には"教祖様"がいて、一時期ものすごい超能力を持っていました。しかし、そのトップが死んでしまうと、超能力を持っている存在がいなくなるわけです。すると、分裂だなんだと力を喪失していくのです。しかし、池田大作氏は超能力者ではありません。池田氏は仏教の理論を体得し、実践している先生という存在です。だから、仏教を体得すれば皆、仏になれるという理屈です。池田大作氏は仏であるのですが、皆が仏になれるわけで、そこに超能力はありません。

 

池田大作氏がいなくても組織自体はまわるようになっているし、聖教新聞を使った文字での指導も十数年続いているから、創価学会のメンバーはテキストによる指導に慣れています。だから、本格的な分裂とか、組織がバラバラになるということはありません。その辺りのことを分かってない宗教学者やジャーナリストが、いい加減な話をしていますよね。基本的に現世での理、現世で目の前にある問題を解決できないような宗教が、あの世のことについて説いても説得力がありません。生き残る宗教は全て、現世に利益があるわけです。信心して、その内容を実行すれば、皆が仏に到達できるというドクトリン(基礎原則)があります。カリスマ的な教祖がいなくなっても、テキストによって救済が担保されています。

 

佐藤優

さとうまさる

 

元外務省主任分析官。作家。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)新潮ドキュメント賞大宅壮一ノンフィクション賞受賞、著書多数。

 

逝去されました公明党創立者である池田大作創価学会名誉会長についてのことが語られていた部分、目に止まり記すことに。