トトヤンの家庭菜園

小旅行、読書、TV番組感想、政治への関心、家庭菜園のブログです。(和歌山県)

メディアの国葬是非論の不毛

統一教会がらみの記事を。

いずれの報道みても、トンチンカンな取り上げ。SNSにいたってはそれに輪をかけたような、半端な理解まで。

よって、知りたいことは、違うんだよなあ。そんな中途半端な繋げ合わせたような事実の羅列に終始していれば、えらいとばっちりもいいとこ。

マイナンバーカード
マイナポイント、やっと紐づけすませて、やれやれ、ネットで、えらい待たされたぜとひとりごちていたら、TVでやってる報道もこの程度、双方向のネットもこの程度かと、政治へのすくなくとも投票率
見ていた限りは上がってはいたのに、やれやれ、メディアのほうでの貧困状態は、いやまして酷いものだなあと。これでは、また政治離れも深まるばかりではないのと。

そう思って、諦めてもいたのに。しかしながら


その後に、「多少とも」得心はできようかという記事にも出逢えたので

今日のブログ記事は

以下その引用記事で終わるとします。

 

 

安倍晋三さんの国葬と戦後政治史における統一教会から考えたい「動乱期の生き方」文春オンライン 山本 一郎


 選挙期間中に凶弾で斃れた安倍晋三さんの国葬が、9月27日に日本武道館で行われることとなりました。その是非については、いまなお与野党の間で議論になっていますが、国葬は海外からの弔問外交をまとめて引き受ける仕組みとして機能すれば良いわけですから、「安倍晋三さんの功績は国葬に値するかどうか」だけで判断するのもむつかしいのではないかとも思います。

 国葬の実施にあたっては、その決断を珍しく岸田文雄さんが早々に下してしまったという点で「やればできるじゃん」という気もしないでもありません。

令和のいまも脈々と鼓動を続けている戦後政治史
 今回の安倍晋三さんの銃撃事件は、何とも残念で、衝撃的な事態となりました。

 正直申し上げて、失ってみて初めて感じる安倍晋三さんの存在の大きさに直面し、私ですらしばらく呆然とし、信じられないなという気持ちで報道を食い入るように観ておりました。また、時間をかけて見れば見るほどに、私たちの戦後政治史というものがいかに令和のいまも脈々と鼓動を続けているかを肌身で感じさせることとなりました。

 

 

 

 私の親族も先の大戦に従軍しシベリア抑留を経験しており、また、その後もソビエト連邦との商取引に従事して関わり合いを長く持っていた一方、確かにソ連や中国と取引をしていた私の父親も共産党からの勧誘を一再ならず受けてきた経緯がありました。同様に、私が父親に手を引かれてソ連に渡った子どものころは、雲の上の人であった駐ソビエト日本大使館公使の丹波實さんや駐ソ外交官の皆さんは強烈に印象に残っており、やがて大人になってそれなりに情報を扱うようになってからは、いわば敵陣で専門家として危険と隣り合わせに外交窓口を担い、また情報収集の役割を果たした先人の豪胆さと知的な膂力に想いを馳せざるを得ません。

カルト教団のやらかし」で連日批判されている統一教会
 今回問題となった統一教会(現・家庭連合)も、文脈としてはカルト教団のやらかしの側面が現在大きくクローズアップされて、連日批判の対象になっています。

 私が思うに統一教会は民主主義社会の現代においても、また過去においても最悪に近い行為を洗脳した信者に繰り返した犯罪組織の最たるものであり、いまからでもいいからすぐに断罪し、年間550億円とも600億円とも言われる日本から韓国への資金の流れを断ち、霊感商法だけでなくすべての献金・寄付についての資金授受はガラス張りにし、被害者や家族への賠償、救済は即刻道筋をつけるべきものだとも思います。

 また、統一教会に限らず、宗教団体と政治の関わりについては、特に自民党の選挙活動と密接になりすぎている部分については特に解消し、適切な形で良い距離感を持たせるためにどのような方策があるのかを真摯に模索するべきであろうとも考えます。

宗教団体と政治の関わり
 我が国の憲法20条で認められた政教分離の原則は、あくまで国家が特定の宗教に対して便宜を図ったり、逆に弾圧したりという行為を禁じるものであって、特定の宗教の人が立候補したり、政党を作ったり、選挙を手伝ったり、政党や政治家に適法な範囲内で献金することを禁じているものではありません。

 しかしながら、宗教二世問題に代表される事案や、統一教会から家庭連合に宗教団体の名称を変えるときに下村博文さんなど当時の文部科学大臣が改名を認証した件をめぐり「あれは自分の関わりはなかった」と全否定してしまう一件については、やはりきちんと調査するべきであろうと思います。

 蛇足ながら、なぜか前川喜平さんが横から出てきて1997年当時文化庁宗務課長だったとカミングアウトして自分の時代は統一教会の名称変更を防いでいたかのようなアピールをしていました。が、統一教会が2015年8月26日、宗教法人を管轄している文化庁から改称を認証されるにあたり、下村博文さんが当時文部科学大臣だったのに対して、他ならぬ前川喜平さんは文化庁も担当している文部科学審議官で、前川さんも前川さんで統一教会の改称認証をスルーしとったんやでというツッコミを入れずにはいられません。どうして毎回こう間が悪いんでしょうね。

日本船舶振興会笹川良一さんにさかのぼる、ややこしい問題
 さて、その統一教会自由民主党の戦後政治裏面史については、まさに日本船舶振興会(現・日本財団)の笹川良一さんと朝鮮半島生まれの文鮮明さんとの間での誓約に基づいて、日本での共産主義勢力を排除するための「国際勝共連合」の結成(勝共連合:1968年成立)と、自由民主党保守傍流であった清和会、とりわけ安倍晋三さんの祖父にあたる岸信介さんの政治的庇護を取り付けたあたりに大きなねじれを生んでいるのが、この問題のややこしさとも言えます。

 戦前戦中、朝鮮半島は日本領(実効支配)であり、当時の日本の民族的保守という観点から言えば、朝鮮半島から満州にわたる広い地域が「精神的コアステート」であったことで、当時の日本の保守界隈が朝鮮と日本の間をあまり大きく分け隔てることなく「日本である」と認識していたことは理解をしておかなければなりません。

共産主義に対抗するために手を結んだ先が統一教会
 また、この勝共連合の起こりは、アメリカとソビエト連邦による冷戦が、ほんの偶発的な事件一つで全面的な核戦争にいたるのではないかという大変な恐怖をともなう緊張関係にあったことは否定することができません。60年代と言えば、大規模な安保闘争が繰り広げられ、70年代を終えるまで多くの大学や職場が封鎖されたりゼネラルストライキが繰り返され、国民経済に打撃が加わっていたこと、これらの一部は左翼勢力・共産勢力によって煽動された面もあります。

 1968年近辺は、文字通り、極左暴力集団によるテロや暴動が相次いでいた時期でもありました。頻発する殺人・テロ・重大事件で、日本社会が大きく動揺していました。

 それゆえに、当時は理想主義的な米GHQの平和主義憲法・施政によって解体された警察機構や軍隊組織が脆弱であった日本は、共産主義に対抗するために、まだ当時は日本とアイデンティティがやや近かった朝鮮半島由来の統一教会とあろうことか手を結んでしまったのです。その後援は韓国の情報部門であるKCIAで、共産勢力の排除を行うために、非警察の結社が必要とされた(と当時は議論され、実施に移された)というのが揺るぎない事実ということになります。

敵の出方論」を採っている共産党
 後年、とりわけ00年代以降の自民党支持者や、「ネットで政治の真実を知った」系の人たちからすれば、実に「不都合な事実」なのは、そういう宗教勢力をバックに自民党が世界的な共産化の動きに抗っており、場合によっては朝鮮人暴力団を動員してでも共産党員や労働組合員、左翼大学生などと文字通り殴り合いをし、脆弱な警察権力が一定の規模に育つまで踏ん張ってきたのだということです。

 対する日本共産党などは、GHQを仕切る元帥マッカーサーさんの手によって1950年に公職追放レッドパージ)を受けました。さらに団体等規正令(当時)に基づいて出頭命令を拒否した団規令事件で逮捕状が出て、野坂参三さんや徳田球一さんなど9人の共産党幹部は地下に潜行し、51年「軍事方針」を策定して武装闘争路線を取っています。

 共産党と言えば、公安調査庁はこんにちも共産党破壊活動防止法に基づく調査対象団体としています。51年時点で「軍事方針」を定め武力蜂起の方針を掲げたものの、これを一度取り下げていますが、共産党は自党が手がける革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用しており、暴力革命の可能性を否定していないことが論拠になっています。

ソビエト共産党からの組織的な資金援助を受けていた日本共産党
 その日本共産党は、宮本顕治さんや不破哲三(上田建二郎)さんの著述にも多く出ていますが、少なくとも勝共連合が成立する前後までは、ソビエト共産党からの組織的な資金援助を受けていたと見受けられます。これは、ソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦に国家が継承されるまでの1993年の情報公開(グラスノスチ)でソ連の対日外交録が公開になる中で、左翼労働運動基金ほか複数の他国共産党への資金援助や情報流通の内容が一部明らかになり、この中では当時日本共産党の組織ナンバーツーであった袴田里見さんや野坂参三さん相手に分かっているだけで85万ドル(当時・現在価値で言えば10億円以上)の資金が渡っていたと見られます。

 いわば、50年代から70年代にかけて、核戦争に繋がる破滅的な第3次世界大戦への緊張感を強く持つ米ソ冷戦の中で、日本は韓国とともに西側諸国側の砦として、世界的な共産化ドミノを防ぐ役割の一角を果たしていました。統一教会のような当時日本とある程度一体感のあった朝鮮半島の宗教団体と手を組んだ自民党も、ソビエト連邦から内々に資金援助を受け日本の赤化を進めようとした共産勢力も、米ソ対立の最前線にあった日本の政治や社会運動の水面下で大変な戦いを続けてきていたという背景は知っておくべきことだと感じます。

80年代以降の、宗教行為を隠れ蓑にした悪質な経済行為
 そして、80年代以降、日本の経済成長が軌道に乗り、日本社会が繁栄を謳歌し始める中で大きな問題となったのはまさに統一教会の存在でした。霊感商法や破滅的な献金・寄付を信者に強要する形で一家を破壊し、強制的に日本人女性を韓国人と結婚させ、年間550億円以上と言われる資産を日本から韓国に移転させるという宗教行為を隠れ蓑にした悪質な経済行為です。これは、統一教会がカルト宗教だとして断罪されるものだけではなく、むしろ集団洗脳の手段を用いた重篤な経済犯罪だとも言えます。

 かたや、当時の岸信介さんや日本財団が危惧した日本の共産化は社会問題として咀嚼され一服し、勝共連合の歴史的役割は本来ここで満了することになるのですが、その後も組織は残り、また、統一教会も00年代以降さらに自民党との結びつきを強めながら現在に至っています。

統一教会だけではない…洗脳組織の「安い労働力」
 問題なのは、これらの宗教団体を隠れ蓑にした洗脳組織が統一教会以外にも複数並存し、これらが信者を無償のボランティアとして一部の自民党や野党政治家の政治活動を扶助させ、また、当たり前のように担当秘書につけることで、一体化している面が拭えないことです。宗教団体を標榜する団体と政治家の間での相互依存的な持ちつ持たれつの構造は、洗脳によって破壊された信者が「安い労働力」として選挙活動を支え、また、我が国の政党政治を行うにあたっての枢要な思想性、政策方針にまで影響を与えている疑いがとても強いことが背景にあります。

 安倍政権中盤で問題となった「日本会議」も新興宗教団体を多数関係先に持ち、これらが「親学」をはじめとした適切でもなければ科学的でもない思想が「自民党的保守」の文脈であるように振る舞い、家庭政策や文教政策に影響を与えています。

「何が正しいか分からない」からこそ、安易に依存することなく
 宗教団体であれ、労働組合であれ、共産党であれ、スピリチュアルであれ、推しであれ、オンラインサロンであれ、情報が乱舞し固有の価値観や考え方が相対化されてしまう現代社会において、短いフレーズで言い切ってくれる分かりやすい見せ方に、依存したい個人が流れ着いてしまう現象に拍車がかかっているようにも感じます。

「学校は通うもの」「結婚して子どもを育み家庭を築くことが幸せ」「大企業に入り安定した生活」など、当たり前のように目指していたものの価値の根底が揺らぐと、盲信し、安住できる価値観や考え方に寄り添える組織への所属が安らぎを提供する面は確かにあるのかもしれません。YouTubeを観れば陰謀論が人気を博し、テレビを付ければ曰くつきの面々がそれらしいことを喋っているのは、確かに現代社会の病理なのかもしれません。

 しかし、何が正しいか分からない、幸福を与えてくれる物事がはっきりしないからこそ、安易に依存することなく平静に孤独を愛することもまた、戦後政治史が教えてくれる「動乱期の生き方」なのではないか、と思うのですよ。これから本当に米中対立に至るのかどうかはまだよく分かりませんけれども、おそらくは、誰かが誰かに作用しようとする動きはもっともっと強くなっていくのでしょう。

 安倍晋三さんの国葬はまさに、そういう日本人の生き方について冷静に考えるきっかけをくれるのではないかと思っています。神の御許に召された安倍晋三さんの魂が限りない平穏のうちにあることを、心よりお祈り申し上げます。

(山本 一郎)