トトヤンの家庭菜園

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福島原発事故検証番組備忘録

格納容器内部の状況など事故の実態から、当時の対応を検証。事故調査が集中的に行われてきた2011年から2012年にかけては事態が明らかになっておらず、その結果見落とされてきた検証の新たな視点が浮かび上がってくる。まさに3号機のスプレイを巡る対応はそれにあたる。

 

対応で、専門家たちが最も厳しく指摘したのは、国や東京電力本店による意思決定への介入だった。事故の際、本来は福島第一原発の責任者である吉田所長の判断が尊重され、本店は支援を行うという役割分担になっている。東京電力の事故調査報告書においても「事故拡大防止に必要な運転上の措置等の実施は、原子力防災管理者である発電所長(今回の事故では吉田所長)に権限があり、本店緊急時対策本部の本部長(社長)は発電所緊急時対策本部への人員や資機材等の支援にあたる。」と記載されている。

しかし、スプレイをめぐるやりとりを見ると、まったくそうなってはいなかった。

テレビ会議のやりとりをみると、東京電力本店の小森常務が福島第一原発に対し、「止めた方がいいな」と発言。それに従う形でスプレイを停止している。しかし、東京電力本店の発言の冒頭に「本省(国)」からの意見として伝えられたことにあるように、東京電力経済産業省や官邸には様々な連絡ルートがあり、また時には官邸にいた武黒フェローや原子力安全委員長だった班目氏から吉田所長に直接問い合わせや指示が入ることもあった。



福島第一原発では様々な場面での介入があった。1号機で、菅総理大臣(当時民主党政権)が福島第一原子力発電所を訪れ吉田所長に「ベントを急ぐ」よう直接迫った場面、班目原子力安全委員長が2号機の局面で「ベントよりSR弁を優先すべき」と吉田所長に直接電話で意見を伝えた場面。これまでの取材で検証してきたポイントに加え、今回、また新たな介入についての問題が浮かび上がった。

 

本店に国が意見を伝えることで、実質的に介入が出来る状態だった原子力事故における体制と権限。ここに問題があったと指摘されていた。