トトヤンの家庭菜園

小旅行、読書、TV番組感想、政治への関心、家庭菜園のブログです。(和歌山県)

夜明けの街で≠揺れる

舞台は横浜。建設会社に勤める渡部は、

愛する妻と一人娘を家族に持ち、平凡ながら幸せな生活を送ってきたはずだった。だが、

彼は、派遣社員として入社してきた仲西秋葉との不倫関係に陥ってしまう。訳ありの女。

どんどん秋葉に惹かれ、秋葉との再婚を考え始める渡部。

しかしながらお相手の彼女がこともあろうか、時効間近の殺人事件の容疑者であることを知る。警察や被害者家族は秋葉の周りをかぎまわっている。

彼女は本当に殺人を犯したのか。もし、犯人であったとしたら、それでも渡部は彼女を愛し続けることができるのか。男はどこまでもロマンチストで、女のほうは現実主義者であることを結末に知ることに。

この作品以上に、その後読んだ作品で、恋愛ミステリーの系統でインパクトを受けたのは女性作家の「揺れる」という作品だった。

林由美子という人の作品。はじめて、この人の作品を読む。

東野圭吾の「夜明けの街で」は主人公は男性だったが、林由美子の「揺れる」は主人公は女性。どちらも、恋愛ミステリーだけれど、林由美子の「揺れる」のほうが「結末に救い」がある。

「夜明けの街で」の男性のほうは不誠実な不倫を続ける。「揺れる」の女性のほうはどこまでも誠実を貫いていく。

自己中心的なところに起因する災いが東野作品に遺憾なく描かれているとすれば、後者の林作品のほうは常に自分のことより、周囲のことを慮り過ぎることからの災いを描いている。「夜明けの街で」の彼は、恋した相手の彼女が犯罪者なのかという不安と猜疑心に覆われていくのだが、「揺れる」のほうは、恋心を抱いていた男性が前科者だったというストーリー展開。それも、一筋縄にはいかない。同級生の初恋の相手との再会も絡まって、危険な、揺れ動く両者への思いも重なっていくのだ。そこは、「夜明けの街で」の男のような遊びの余地はない。極めて、生活感のある仕事現場と地域との絆を描いていく。「夜明けの街で」に登場する大企業の建設会社ではないにしても、建築の設計士として、一旦は都会に学び、訳あって、故郷に舞い戻ってきて、同級生との出会いもあり、二股の恋心に揺れ動いていく。初恋の同級生を選ぶべきか、それとも、実家の家業の工務店に新参で来ていた従業員の大工との出会いを大切に選ぶべきか。究極の「許されざる恋」を描いていた。恋愛サスペンス小説でした。ラストを語るのは止めにして、ハズレなしのおススメ作品として、この両作品をアップしておきます。