トトヤンの家庭菜園

小旅行、読書、TV番組感想、政治への関心、家庭菜園のブログです。(和歌山県)

ドクター・ハック

原爆投下というあまりに悲惨な結末を迎えた太平洋戦争ですが、その直前まで、骨身を削って日本を戦争から救い出そうとした、実にまっとうなドイツ人がいたことを知る。

ドクター・ハックと呼ばれるフリードリッヒ・ハックという人物。

 


歴史ドキュメンタリーを数多く手がけた元NHKプロデューサー中田整一氏は、テレビ番組で削ぎ落としてしまった貴重な証言が愛おしかったのでしょう、一冊の歴史書として書き記し彼の実像に迫っている。

 

 

それから幾数年も経ったというのにまた、身近での核の脅威。

 

南北問題。

アジア日本の周辺では朝鮮半島の分断。北朝鮮問題は未だに続いている。

加えてテロ犯罪と核の脅威。各地での不完全な停戦合意。北朝鮮問題解決に参考になりうる事例があるだろうかと。あの南アフリカ共和国の反アパルトヘイト終息は手本となるだろうかと。例えばである。南アのすべてがまだ途中であるにしても、そのような終息にむけての成功の鍵たるものはなんだったんだろうと。和解の土台に人々のこころの変化がたしかにある役割を。それはいえること。

為政者側のそれははじめから一枚岩でもなかったこと。人道について、キリスト教会内部の良心の声が湧き起こり、それが壁をつき動かしたこともおおきかったのだろうと。

しかし、同様なことがアジアのあの北の独裁社会で期待できるか。同種のことが期待できるわけでもないだろうとも。それは思うのだ。いまだ北からのミサイル核の脅威は突きつけられたまま。それになしのつぶての拉致の問題。

経済制裁はどこまで効いたのか。制裁どころか、上手い具合にむこうの挑発外交のほうが効いてしまったのか、いまでは重油、エネルギー等々の保障まで引き出されてしまう結末に。さすがに日本の立場としては腹にすえかねて、六ヶ国協議のホスト役中国の仕切り方には不満も残るといったところか。

まさか、いままでも経済制裁に抜駆けがあるような事態はないだろうなと。

国連の場であろうが、六ヶ国協議の場であろうが、日本のはっきりした態度を国民は願っているはずなのに。しかし、いまいちど、まずは手本となるだろうかと思念の最初に浮かんだ南アの例とやらも、自分でどれだけ知っている事やら。

恥ずかしい部分もあるのだ。南アフリカはアフリカ大陸にある53か国の一つ。

アパルトヘイト(人種隔離政策)で白人少数派が多数派の黒人を長く「合法的に」隷属させてきた国であることに加え、金やウラン、ダイヤモンドなどの地下資源に恵まれている点で、アフリカ一の経済大国でもあるという特徴があることは有名だ。アパルトヘイトの諸法律はすでに廃止され、

ANCも合法化され、1994年4月の初の全人種参加の総選挙で予想通りANCが圧勝し、マンデラ氏が大統領に就任、あれから17年が経過する。

以前は黒人が白人の学校で学ぶことや白人居住区に住むこと白人と結婚することを禁じた法律などがあって南アは白人至上主義が生き続けていた。

欧米諸国がアパルトヘイトを続ける南アフリカとの経済関係を人道的理由から縮小する方向であるのに、

日本人は経済上の都合から「名誉白人」扱いとされて、日本は80年代後半から逆に南アフリカ共和国の最大の貿易相手国になって支え続けていた側面もある。

日本人の行動はアパルトヘイトを容認するものだったと言われる状況証拠もいくつか。決して日本人も無関係じゃなかったのか。

それぐらいまでの認識はあったつもり。それに輪をかけてぐっと強く印象をはっきりもたせられたレポート風の書、それは北沢洋子著の『私のなかのアフリカ』だ。

アジア太平洋センター理事でもある北沢さんは74年に国連で、南アやナミビアに対する国連決議を日本人がいかに無視しているかを告発証言している。

『わたしのなかのアフリカ反アパルトヘイトの旅』は北沢洋子さんのつまりその南アの貴重な調査の記録なのだ。

米国キリスト教会とのつながりからはじまって。日本企業の南ア進出の実態調査。日本政府の妨害工作をはねかえしての、国連での証言。そのことによって世界の日本人へ信頼は

かえって高まったともいえる彼女の行動。あばかれてみれば人権よりもエコノミックアニマル的な日本企業の事態、アパルトヘイトを支えているようにもとれる具体的実態が。

そもそも必要な日本とってのウランだったのだろうかと。仮に必要だとしても、そのような制裁決議までかかっているような、しかも迂回にしろがぜん疑いの濃いような購入がなぜ。

立場を変えれば制裁決議に抜駆けするように今で言えば北朝鮮に擦り寄るような振る舞い。南ア黒人側からすれば名誉白人とかいわれいい気になっている当時の日本人への不信もわかろうというもの。

 

社会人になった頃の、自分は他のことにかまけて国会のやりとりもまったく眼中にもなかった。

衆議院大蔵委員会 第15号

     昭和五十四年四月十一日(水曜日)

 

伊藤(茂)委員 

それからいま日本の電力会社が、ナミビア産のウランを南アで買い付けるという契約を結んでいるとか、言うこととやっていることとは違うのじゃないだろうか、

やっぱり何かエコノミックの方が優先して動いているのじゃないかということも聞くわけでありますが、

やはりそれらをきちんとしてやっていかなければ、外交、経済両面から尊敬をされないということになるのではないかと思います。

そんなことについて、細かいことは結構ですから、きちんとやっていくかどうかということだけお伺いしたい。、、、

 

堤説明員 南部アフリカ関係でございますけれども、国連、特に安保理の決議は厳守する、

その範囲できちんとやっていくというのが日本の姿勢でございます。南アフリカとは、日本の貿易立国という観点から、

通常の貿易は行っておりますけれども、投資等は進めていないわけであります。

 

第107回国会 参議院 外務委員会 第2号

昭和六十一年十一月二十五日(火曜日)

 

矢田部理君 アメリカの議会は、先般の制裁法でウランとか石炭の輸入を禁止しました。日本はこれを禁止していないんですね。

ウランについては全体の一一ぐらいを南アフリカから買い付けている。

それから石炭もあんな遠いところから、日本の石炭は国内事情、いろいろ問題があるわけでありますが、買い付けている。

砂糖や羊毛まで向こうから買っている。砂糖はフィリピンから輸入したっていいじゃないかと、こう私なんかは思うわけであります。

そういう点でこれらを含めて、少なくともやっぱり全面的な禁輸措置をとるべきだというふうに私は思いますが、いかがですか大臣。

国務大臣倉成正君) いろいろ矢田部委員の御意見があろうかと思いますけれども、ヨーロッパ諸国等の措置、それからアメリカにつきましても融資について、日本の場合にはこれは全然とめておるわけですけれども、若干残っておる面もある、

また観光振興についての若干の措置が残っておるという点もございますから、私はあらゆる観点から慎重に検討の上決定したものでございまして、

日本の立場からはこれ以上の措置は当面考えていないというのが実情でございます。

矢田部理君 そこが少し弱腰なんですね。アメリカの制裁法が成立したときに、

少なくともそれに日本とかヨーロッパあるいはイギリス等が同調するかどうかが一つの大きなポイントだと言われてきた。

ところが、業界に自粛は要望したが禁輸措置はとらない、自動車部品などは大量に輸出をしている、

去年のごときは従来にも増して金塊を大量にまた日本では輸入をしている。こういう緩い対応、

これが実は南アの政策について外務省が極めて弱いと、そのことが開発途上国やアフリカの人々から日本の国際的評価が大変悪いという

ことにもなっているのでありまして、今の外務大臣の説明では私は納得しません。ひとつ緊急に、さらに検討を求めたいというふうに考えております。

 

南アはナミビアを一方的に自国領土に編入、国連は経済断交を含む南ア制裁を決議(日本は棄権)、強制力がないため、特に日本は南アとの貿易を急激に伸ばした。

そこらへんの状況は商社筋の動きを取材した経済部の記者のレポートでも符合するのだ。その傍証として( 総合商社 朝日文庫から)

「75年の春、国連ナミビア理事会のルビア・バンダ議長ら使節団が来日し、東京での記者会見で、特に三菱の名前を挙げて非難。国連の布告を無視して、ナミビアのウラン

資源を勝手に輸入しようとしているというのである。74年9月。理事会の許可なくナミビア領土内の資源を開発したり、輸出することなどは一切禁止するとの布告もだしているし、許可なく

持ち出したものは盗品であるとまで言い切ってきたからだ。日本の場合は、関西電力が70年にナミビアでウランの採鉱、精錬をしているロッシング・ウラニウム(南ア法人)と

八千二百トンのウラン精鉱を77年から十年間にわたって買い付ける契約を結んだ。この南ア法人は英国の多国籍鉱山会社リオ・ティント・ジンク(RTZ)と南アなどとの合弁

会社。RTZの対日ウラン販売代理店が三菱商事で、あとで丸紅も加わっている。

さすがに「この契約はナミビア情勢が正常化するまで休眠させている」(三菱商事燃料室長)というがRTZは71年ごろスイス法人の販売会社をつくり、日本の電力会社はこのスイス法人を通じてRTZ系のウランをちゃっかり買っている。ウラン精鉱を買うのではなく。一次加工したガス体の六弗化ウラン。この加工段階では、各国産のウラン精鉱をごちゃまぜにできるので、「盗品」

の足跡は消されてしまうことになる。スイス法人から買う六弗化ウランにナミビア産が含まれる可能性はきわめて大きい。

RTZがスイス法人を通して売っているのは、スイスが国連に加盟していない利点をねらったもの。ともあれ、欧州はこれまで南アやナミビアに膨大な投資をしてきており、

その重みは黒人側も知っている。しかし、これまで手を汚してこなかった日本が何でいまさら。

そして記者は国際問題評論家の北沢洋子さんの推理小説を地で行くような調査のうえの国連での証言を特にあわせて紹介していたのだ。

 

同種の抜け駆けが、北に隣接した中国で今また、はたして行われていやしないだろうかと。

考えたくもない構図ではあるが。金正恩体制への疑問はないのか。中国のあの国に対するサポート歓待ぶり。それを見てもしっくりいかないことばかりが続いているのが気がかりではある。

それに、今は、ロシアが北朝鮮との繋がりを深く。

 

思い浮かべる北沢洋子さんの綿密なレポートに匹敵するような、その他の作風の読み物も。

 

娯楽的に推理小説、国際政治を織り込ませた

西村京太郎作品。鉄道シリーズとはうって変わって、自分の中では、お気に入りの二作品をセレクト。

 

『ある朝 海に』

西村京太郎の本格冒険小説。

黒人差別を国連に訴えるため船を乗っ取るという筋書きが秀逸でした。

シージャック犯には中国人を宛てるというのもなかなか、第三世界の代弁者的趣向を醸し出している。

 

それから、

D機関情報』

作品の内容は省きますが主要な登場人物と歴史上のモデル、その相関を列記して著者の作品への並々ならぬ熱量を感じたことを思い返しています。

 

登場人物

関谷 直人(せきや なおと) - 日本帝国海軍中佐。モデルは元日本海軍中佐の藤村義朗。

矢部 将之(やべ まさゆき) - 海軍中佐。ドイツ駐在武官

笠井(かさい) - 新聞記者。モデルは元朝日新聞社の笠信太郎

今井(いまい) - スイス日本公使館の書記官

フォン・フリーデリク・ハンク - ドイツ情報局員。モデルはフリードリヒ・ハック。

ロパーヒン - 自称フランス人のソビエト諜報機関員。

ナンシイ - アメリカ人。「D」と言い残して死ぬ。

カール・エレン - 横浜生まれのドイツ人。ユダヤ人。

リタ・ガーネット - アメリカ人。D機関の諜報員。

 

モデルの一人フリードリヒ・ハックについては参考紙面画像を加えておきます。

原爆投下というあまりに悲惨な結末を迎えた太平洋戦争。冒頭にも記したようにその直前まで、骨身を削って日本を戦争から救い出そうとした、実にまっとうなドイツ人。

ドクター・ハックと呼ばれるフリードリッヒ・ハックという人物。

 

一冊の歴史書。彼の実像に迫っている。


自分の場合は史実を背景にした推理小説の西村京太郎作品

「D機関情報」の影響によるところでもある。

NHKの太平洋戦争を振り返る報道内容を特集した出版物。画像は角川文庫編を併せて

 

新聞紙面はドキュメンタリーに関わったプロデューサーが新たに出版された自著の出版時のもの。愛おしい取材経験は作品に投影されている。