トトヤンの家庭菜園

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変異種

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「英国の変異種ウイルスは新たな大流行の予兆の可能性」科学者らが警告

 

 新年に入り新型コロナウイルスのワクチンに対する期待感が高まっているなか、他方ではウイルス変異種への恐怖が再び強まっている。主人公は、英国で急速に広がっている変異ウイルスだ。

 国際学術誌『サイエンス』は5日、科学者らの言葉を引用し、この変異種ウイルスが新たに、特に危険な大流行の予兆になりうると警告した。

 昨年9月に初めて発見されたこの変異種は、その後、英国南東部地域を中心に他の変異種を追い抜いて急速に広がり、1カ月前から科学者の注目を集め始めていた。英国メディアによると、変異ウイルスはすでにロンドンでの新規感染の80%を占めており、隣国のアイルランドでも新規感染者の4分の1から英国の変異種が検出された。現在、欧州の多数の地域と米国、日本、韓国、トルコなど33カ国で英国変異種が確認された。

 英国の研究支援機関であるウェルカム・トラストの伝染病専門家のジェレミー・ファラー(Jeremy Farrar)博士は『サイエンス』のインタビューで、「B.1.1.7がこれからより幅広い感染拡大を経て世界の支配的な変異種になり、極めて悪い影響を引き起こしかねないという懸念がある」と述べた。 彼は「昨年の流行の傾向は予測可能だったが、今は予測不可能な局面に入っているとみられる」と付け加えた。

 英国の変異種まで加勢し状況が深刻になると、一部の国家はワクチンの承認を急いだり、より効率的なワクチンの接種方式にするか迷っている。しかし科学者らは、新たな変異種が多くの国家に広まっている点を受け、これまでの感染拡大の抑制措置をまず強化することを促していると『サイエンス』は伝えた。例えば、英国が1月4日から学校を閉鎖し、国民に特別に必要な事情でなければ外出しないよう要請したのが、そのような事例だ。

 しかし、多くの欧州の国々は手をこまねいているようだと、バーゼル大学のウィルス学者のエマ・ホドクロフト教授は批判した。彼女は「これが早期警報だということに気づけるよう願う」とし、「そうすればこの変異種に前もって対処できる」と強調した。

 

 初めて全ゲノム構造が明らかにされた英国の変異種は、中国武漢で初めて発見されたものと比較すると、合計17カ所で突然変異が生じていた。それまでに現れた変異種に比べ、変異の位置が多様化した。17カ所の変異のうち8カ所は、ウイルス表面に突き刺さったスパイクタンパク質にある。スパイクタンパク質はウイルスが細胞内に入るときに用いられる道具となるタンパク質であるため、そこでの変異が感染力を高める方向に作用すると科学者らは推定している。

 英国政府が明らかにしたことによると、新たな変異種の感染力は、以前のものに比べ50~70%強い。英国の変異種の感染力がこの水準でさらに強いということは、英国公衆保健局の分析に基づいたものだ。それによれば,変異ウイルスの感染者と接触した人のうち陽性反応を示した人は約15%である一方、他のウィルスの感染者との接触者のうち陽性反応者は10%とやや低かった。

 もし他国でもこのような傾向が現れたら、新たな大流行の開始とみなす強力な証拠になりうる。しかし、まだ英国以外の国で英国の変異種(B.1.1.7)への感染事例が急増したという報告はない状況だ。欧州の新型コロナウィルス遺伝子の分析を主導しているデンマークの資料をみても、英国の変異種の検出頻度は12月初めの0.2%から3週後に2.3%と少し増加した程度だと『サイエンス』は伝えた。

 しかし、このような傾向がさらに続けば、他の国々でも英国のような問題に直面することになりうる。ホドクロフト教授は「世界のどこにでも広がりうるという点に注目し、自ら備え始めなければならない」と述べた。

 

 科学者らは、英国の変異種が既存のウイルスより感染者の症状をさらに悪化させるという証拠はないが、だからと言って警戒を緩めてはならないと指摘する。

 全体的に見れば、強くなった感染力は病原性が高まることよりはるかに危険だということだ。英国ロンドンの衛生熱帯医学大学院のアダム・クチャルスキー教授は『サイエンス』のインタビューで「死亡率は1%でも多数の人々が感染すれば、死亡率2%で少数の人々が感染する場合に比べ、より多くの死亡者が出るだろう」と述べた。

 感染者を減らせば、また別のウイルス変異種が出現して広がる可能性も下げられる。ファラー博士は「ウイルスとの戦いは本質的に数字ゲーム」だとし、「ウイルスがより多く広がるほど、突然変異が現れる可能性はさらに高まる」と述べた。変異種が多くなれば、長期的にはワクチンの効果を脅かすこともありうる。したがって、感染者を減らすことが急務だと科学者らは強調している。