会社を倒産から救う活動
をしている弁護士はたくさんいるでしょうが、
とくに過去にNHKの仕事の流儀で
紹介されていた企業再生弁護士、松村謙一弁護士
の事は特に印象に残している。
番組みて、数年経ちますが、
ふと、今回のコロナ禍のなかで、厳しい経営局面に
落ち込んでいる企業も少なくないのではということから、
その苦衷に耳を傾けておられる弁護士も
多いだろうなと、振り返って思い起こしています。
中小企業の企業再生の手法をレビュー。
□ 民事再生法
基本は借金を棒引きしてもらい身を軽くして出直そうという手法。銀行と取
引先に相応のカットをしてもらう。しかし取引先があおりを受け
て倒産に追い込まれることもあるから注意を要する。
□ 私的再建法
銀行にだけある金額を借金棒引きしてもらうやり方だ。
□ 営業譲渡法
再建のウルトラC。まず新会社を設立し設備、人、借金の
一部を移す。残りの借金を元の会社に残したまま倒産させて営業権を他社に販
売。新会社は当面営業権をリースして営業し2~3年後にその営業権を買
い取るというケース。
いずれにしても銀行や債権者との交渉は疲れる、大変な仕事。推測するに頭を下げるから精神
的に参るということもあるのでしょう。
とくに、番組のことをふと思い出したのは
番組に登場されていた方はファイトマンそのものという感じだった第一印象。
ところが、番組で知ることになるのは、
松村弁護士の苛烈なる人生。
ソフトな穏やかなその物腰から、思ってもいない自身の過去が赤裸々に語られていく。
顧客の社長の自殺。
自身の娘の難病。そして死。
仕事依頼人の命を救うことができなかっ たことは大きなショックだったでしょう。
それに翌年、娘さんが15歳という若さで病死されてしまう。愛娘の命を救うことができなかった悔しさが重なる。
降って湧いた二つの苦難に打ち負かされ、
進むこともままならず、弁護士稼業を放棄してしまうぐらいの
精神状態に追い込まれた過去をもつ人物であることが明かされていく。
NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演した場面では「よく立ち直りましたね」と言われていた。
本当にそう思える。
数々の企業再生のそれまでの経験から、
あるとき、参議院財政金融委員会から参考人として呼び出しを受ける。
「倒産寸前の会社を100%再生し続けなければならないものなの か」と質問される。
村松氏は再び困難な仕事にのめ りこんでいったのはこの瞬間だったと告白。
「100%再生すべきです。なぜなら人の命が係わっていますから」と答えていた。
自然と口をついてでていたという。眠っていた昔の正義感に火がついた、弁護士としても再出発の日にも、なったのでしょう。
綿密な再建計画を作成し債権者説明会を開催
倒産すれば債権者に一円も戻らない。だが借金棒引きに協力して再建できた暁には何割かまとまったお金が戻るという論法。説得力ある再建計画と誠意ある説 明。
確か10年前になるかもしれない番組内容、書き起こしです。
松村弁護士は常に持ち歩きのカバンには
生前の娘からもらったという手紙が
大切にしまわれている。
困難にぶち当たったときに
開くと大いなる励みになるという。
そこに書かれている父への感謝の言葉は
娘から父へのエール。励ましでもある。
顧客の依頼に誠実に取り組む姿勢を
誇りに死の間際までしてくれていた15歳の娘さん。
手紙が何よりの力強いお守りなんでしょう、
そのような番組のエンディング
思い出す。