トトヤンの家庭菜園

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小説『襲来』

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『守教』ば書くためにキリスト教について調べ、今年になってからはずっと、日蓮について調べとります。来年刊行予定の小説『襲来』が、元寇を題材にしたもので、日蓮を無視しては書くことができんからです。2017年作家、精神科医・帚木蓬生の言葉から。

 


小説『襲来』が、元寇を題材にしたもので、著者の言葉を拾うと、「日蓮を無視して書くことができんからです」とあった。

雑誌の氏のインタビューから、キリスト教の日本での殉教の歴史を『守教』で描いたかと思えば、その次には時代をさかのぼって元寇を題材にした作品ですか。小説『襲来』へと。

自分はキリスト教を信じるものでありませんがキリシタンから隠れキリシタンにならざるを得なかった人間たちのドラマを描いたのが『守教』とするなら、『襲来』も、その関心の延長線にあるのは、ある種の緊張感をもった、世の権威権力との関係性にあることが想像できます。

領地の首領がキリスト教に対して寛容か厳しいかによって、為政者への服従の度が試されたというふうな構図同様、それ以前の歴史でも日蓮教団への弾圧ということで、あったことが理解できます。

そのうえで、小説『襲来』の場合は、日蓮を慕う一信徒の見助の内心に分け入るように迫っていく。

非難中傷の苦闘の中にあっても失うことのない憂国の情を追うことによって時を超えて、また宗教の別を超えて、思想に準じるということはどういうことなのか。それらを考えさせられるものがあるという気がしています。


物語は日蓮の生まれた安房の東岸・小湊(片海)で始まる。下総の守護・千葉氏に仕える富木常忍の片海館の下人として漁をして働く想像上の人物、見助(けんすけ)の視点で語られていく。
下総の千葉氏の領地が肥前小城にあり、そこを経由して蒙古の動静を伝えることができたとするストーリー展開、見立てもうなずけるものがある。

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